SADHANA FOREST

サダナフォレストは2003年に南インドのオーロヴィルにヨリットとアヴィラムにより創設された森林再生NGOボランティアコミュニティーである。
エコ生活に興味がある方は是非一読を。
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彼らビジョンはオーロヴィル近郊の激しく侵食された乾いた土地28ヘクタールその地域に昔あった森へ再生すること。
その活動の目的は近隣の農村をサポートすること。森林再生により水を保持と帯水層の充填をし、近隣の村人たちが食料の栽培が出来るようにし、近くの街のスラムへの流出を防ごうとしている。
助け合いの精神を大切にし、活動を通してヴィーガニズム(極菜食主義)と持続可能な生活の紹介を現地の子供たちや世界中から来るボランティアに行っている。

私は2010年にインドを旅していたころ、サーダナフォレストに2ヶ月間滞在した。
街外れの国道から、乾いた舗装されてない凸凹道を木々に囲まれながらバイクで約5分、サーダナフォレストへたどり着いた。
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事前のアポなし、しかも道に迷い日没後に訪れてしまった非常識な私を彼らは温かく迎えてくれた。

そこには世界中から多くのボランティアが来ていて、私が滞在している時は最大100人以上のボランティアがいた。
ボランティアの大半は旅人や学生のインターンが多い。
環境活動家やインド人ボランティアやもいた。

サダナフォレストの活動を一日の流れで紹介しよう。
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早朝、鳥のさえずりとともに、楽器の音と歌声が聞こえくる。みんなを起こす係りの人が歌を歌いながら、ボランティアが寝ているいくつかの茅葺の小屋を回りみんなを起こしていくのだ。みんなでサークルを作り挨拶を交わし、朝食前の作業の分担をする。

森での作業をする人、朝食を作る人に分かれ作業を開始する。
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乾季の森の作業は主に水を管理するために、大きな穴を掘ったり、大きな畝のようなものを作り適当な範囲を囲う作業を行う。これは雨季に大量の雨が降った際に、地表の土や植えた苗などを流されないようにし、穴に溜まった水が徐々に地中に吸収させるシステムにするため。この他に苗に枯葉のマルチ(覆い)をしたり、水やりをする。
10月から12月の雨季には植林をする。
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(2003年12月のプロジェクト開始から2011年11月までに、160種以上の在来種の植物25500本を植え、覆いをするなど管理をし、生存率を80~90%に保っている。もっとも質の悪い土壌でも生存率70パーセントを保っている。 )

(これまでに20キロ以上のトレンチ(深い溝)が掘られており、8つのダムが作られ、雨水を50000㎥以上保存出来るようになった。その結果、地下水の水位が2003年(サーダナのプロジェクト開始以前)平均7.8メートルから2007年平均1.8メートルになり、6メートル上昇した。)

2時間の朝の作業を終え、9時過ぎに朝食を食べる。
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サダナフォレストではヴィーガン食を食べる。
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ヴィーガニズム(純菜食主義)とは
動物製品の使用をしない生活様式。
(人間は動物を搾取するべきではないという主義)
サダナフォレストでは肉、魚はもちろん、牛乳、バター、はちみつ、白砂糖(植物性だが体に悪いから)等の動物性の食物と加工食品(環境に悪いので)を一切摂取せず、地元の有機農家から仕入れた野菜や果物やコミュニティー内で育てられた野菜や果物を食べている。
ヴィーガニズムは動物を傷つけないだけでなく、地球にも人にも優しい。

※注意
(もしヴィーガンやベジタリアンになるならば、しっかりとした知識を身につけた上でなりましょう。動物性の食品に多く含まれるビタミンB12や亜鉛が不足する可能性があるとともに、現在市販の野菜の栄養素は低下しているという見解もありますので、注意が必要です。)

朝食の後、セカンドサークルを作り簡単なレクリエーションをしたり、歌を歌ったりした後、午前中の後半の作業の分担する。
後半の作業は主にコミュニティー内の仕事をする。
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・ガーデニング
コミュニティー内にはオーガニックパーマカルチャーガーデンがあり、パパイヤ、パイナップル、バナナ、マンゴー、レモン、パッションフルーツ、タピオカ、カボチャ、ヘチマ、豆類など果物や野菜を育てている。
※パーマカルチャーとは
英語のパーマネント(永久)アグリカルチャー(農業)もしくはカルチャー(文化)の造語。自然をよく理解し、環境や人に優しい持続可能な農業や建築、文化などを指す言葉。サダナフォレストの様な生活をパーマカルチャー的生活と言えるだろう。
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・キッチンコンポストの管理
キッチンから出た生ゴミを穴を掘って埋める。生ゴミは再利用すれば資源。
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・コンポストトイレの管理(コンポストトイレとは、名前のごとく便を堆肥化させるシステムのトイレ。)
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サダナフォレストでは、大便は大きなタンク(写真のpoo here)の中にし大鋸屑を振りかける。タンクが一杯になったらしばらく放置し、分解の促進とタンクの中の均一化のため、定期的にかき混ぜて、しばらく経ってから、取り出し保存。1年ほど置いて無害化し、森や庭に使用。

小便はほかのタンクにためている。これは小便は混ぜると重くなり後処理が大変なのと、大鋸屑だけでは吸収しきれず、臭いがしてくるため。分けた小便は薄めて、庭に撒いている。
 

・インド式トイレ術
インドでは大便をした後、紙は使わない。
左手に水をため、手でお尻を洗う。
無駄に紙を使わずに済み、お尻もキレイに。_DSC0914

※トイレから出たらしっかり手を洗いましょう。
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サダナフォレストでは、使われる石鹸は生分解性でバクテリアが分解して、土に帰る。
体を洗う、シャンプーも石鹸も生分解性の物が使われている。
この手洗い場は機能的で、ドラムから水を掬い、ボールに水を入れたら、ボールの穴から水が少しずつ出てくる。水道がなく一人でも必要最低限の水が使用可能だ。そして使われた水はすぐ後ろの菜園の水に使われている。
パーマカルチャーデザインだ。

・ソーラーパネルの調整
可動式ソーラーパネルで太陽の動きに合わせて、朝昼晩を三回角度調整を行う。
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電源はこのソーラーパネルによる発電がメインで、曇り日が続く場合は予備で自転車の発電システムもある。
電気はオフィスのパソコン、照明器具と散水、飲料用の地下水汲み上げポンプに使用。冷蔵庫、洗濯機、掃除機等は使われていない。
右の写真は電動バイク、実質タダで乗れる。インドの舗装されてない道用に設計されている。
(100キロ程走行可能だが、バッテリーを長く使うには、バッテリーは常に満タンにした方がよい)

 

・住居の火気・シロアリ点検
住居のバンガローは南インドの伝統的な建築用法で建てられ、茅葺き造りで釘は使用されず、自然の物から作られている。コンクリートと違い熱の放射性が良い、風通りも良く、夜も比較的涼しい。
それが故、火が着くとあっという間に燃え、シロアリにも弱いという弱点もあるため、毎日点検をしている。
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「現地の大工さんによる定期補修」

 

・キッチン
キッチン料理当番がヴィーガン食を作る。
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「煙の少なく燃焼効率の良いかまど」
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「リサイクルのタイヤとレンガ、土で作られた釜」

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洗剤の変わりに、キッチンで出た灰で食器を洗う。灰は油分を吸着し、アルカリ性なので汚れを落とす効果もある。(インドの田舎では一般的)

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殺菌のため薄めた酢を食器に吹き付けて天日干しをする。

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作業後昼食を食べたら、その午後は自由に出来る。

週に数回イベントがある。
・エコサイクルヤッタ
月曜日は16時から近所の村まで自転車で行って、楽器やボールなどの遊具を持ちより、遊びを通してヤッタ村の子供たちと交流。
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・エコフィルムクラブ
金曜日は近くの村や近くの街オーロヴィルの人を招き、サーダナフォレストの活動紹介とプロジェクターにより環境ドキュメンタリー映画などを上映し、夕食を振る舞う。

・チルドレンランド
日曜日に近くの子ども達を招いて、主に音楽、絵を通じて交流する。

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以上が簡単なサダナフォレストの活動と日常の紹介だ。

 

サダナフォレストでの生活は毎日が幸せで楽しく、沢山の学びがある。
皆が家族のように接し、助け合い、愛で溢れている。

子どもの教育で興味深いのが、競争をさせないこと。
ここでは勝敗つく遊びは一切禁じられている。
サッカーをする場合も点数はカウントせずに勝ち負けなしで行う。
争わずに一緒に喜びや幸せを分かち合おうということだ。

生活に必要な全てのものが、可能な限り環境に配慮されていて、サダナフォレストで消費される食料や水、電気などの資源はどこから来たのかが明確で、都会の生活のように知らず知らずの内に環境破壊に加担しているということが圧倒的に少ない。
必要最低限の生活だけど、日本の生活よりも幸せなエネルギーで満ち溢れている。少なくても私はそうだった。
もし皆が身の回りのことに意識を向けて、自然と共に暮らせたら、もっと素敵な世の中になっていくであろう。

都会の生活で溜まったストレスを発散するために、暴飲暴食、買い物。
そのために必要以上にお金が必要になり、また働いてストレスをためる悪循環。

サダナフォレストの生活や旅を通じて、持ち物は必要最低限が良いことが学んだ。
旅してるときに、持ち物がどんどん減るにつれ、盗まれたり、重い荷物を運ぶ心配が減り、どんどん自由になれるような気がした。

現代の資本主義社会でお金はもちろん必要。
大事なのはお金(エネルギー)をどのように使うか考えること。
何にお金を使うかで、社会に何かしらの影響が与えられる。
物を買う前に、少しだけ考えてみよう。
まずその物は本当に自分に必要なのか?
もしそれが必要なら、友達がそれを持っていて必要としてないなら、譲ってもらえないのか、もしくは貸してもらえないか?
自分では作れないのか?
環境への影響は?

色んなことが考えられる。

現代社会の常識に囚われたら、思考停止してしまう。

常識に囚われず工夫して考えれば、自ずと答えは見えてくるだろう。

ダライラマは曰く
「みんなにとって良いことをするのはとても難しい。だから自分が良くないと思うことだけしなければ、それで良い。」

サダナフォレストの様な生活をすぐに始めるのは少し難しいだろう。
けど、少しだけなら都会の生活にも取り入れられるだろう。

日本でもサダナフォレストの様な暮らしをしているところや人物が存在する。そこへ実際に見に行って、実際に体験してみると新たな気付きがあるだろう。

そして気付いたときにあなたは行動を変えれるでしょう。

サダナフォレストはこれからも様々な人道的な活動を通し、
多くの人々に「自然との共生、人間本来の在り方」を教えてくれるであろう。
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サダナフォレストは2010年1月のハイチの震災後、現地の長期的な食料安全保障を目的に同年4月サダナフォレストハイチを設立し、在来の果樹の植林などのプロジェクトを開始した。
さらに2012年末からケニア北部のサンブル地区でサーダナフォレストケニアを設立。サンバル地区では多くの人たちが栄養失調とそれに伴う病気で苦しんでいる。彼らに植林と水の管理を教育し、長期的な食糧安全保障を目指す。

2010年11月サダナフォレストの活動が世界に認められ、「Humanitarian Water and Food Award」(WAF)(人道的水と食料の賞)の3位を受賞した。

サダナフォレストの詳細こちら http://sadhanaforest.org/
サダナフォレストアビラムさんインタビュー

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