銀工芸職人 羽太雅和さん インタビュー
海、山、川、動物に植物・・・自然からもらったインスピレーションから溢れ出た作品たち。
作品たちを通して人々に伝えたいメッセージ。
自然との共生。
羽太さんがまだ高校生だったある日、彼はテレビで動物実験のドキュメンタリー番組を観た。
その当時、彼は動物実験の存在は知ってはいたものの具体的にどのような実験が行われているのかは知らなかった。
その番組では様々な動物実験が放映されたが、その中でも特に印象に残っているのがサルの実験。
その実験はサルの頭部を突き出した状態で体を実験台に固定し、その突き出した頭部をハンマーで打撃を加えるというもの。
頭部の衝撃耐久性の実験なのだろうか?
ドーンとハンマーがサルの頭部に打たれる。
サルは固定されながら、もがく。
ドーン・・・・・
ドーン・・・・・
三度目の打撃でサルは意識を失ったのか、それとも命を絶ったのか、動かなくなった。
テレビ画面に映し出された研究員達はそのサルのリアクションを見る度にニヤニヤと笑っていた。
その研究員達のリアクションを観て、言葉では言い表せないような激しい怒りと悲しみが込み上げて来て羽太さんの血を騒がせた。
羽太さんはそれから一年ほど発狂寸前の本当にぎりぎりの状態で、精神的にかなり大きなショックを受けた。
そして彼は考えていた。
人間とは何なんだろうか・・・。
人間はこのまま自然から背いて、自らの欲望のままに生きていくのだろうか・・・。
忘れかけてるもっと大切なこと・・・。
動物と人間が、笑顔で 共に歩んでいける世の中・・・。
彼はその溢れ出る思いをどうにか人々に伝えたいと思った。
そして、たどり着いたのが銀工芸のアクセサリー職人。
彼は自然からインスピレーションを感じ取り、それをまず文章にし、それを元にデザインし、作品たちを作っている。
『伝える手段をいろいろ考えてたんですよね。
ただ単に動物実験を批判するのは違うような気がして・・・。
動物実験だけが問題じゃないですし。
街頭演説しようと思ったり、歌で伝えようと思ったり、けど音痴だから断念して・・・。
そして銀でアクセサリー作ろうって決めました。
アクセサリーってずっと身に着けているモノじゃないですか、そして普段の生活でふとそれを見たときに僕のメッセージを思い出してくれたらいいなと思いまして・・・。
お客さんに作品のメッセージを伝えたときに、すごく理解してくれて、号泣されてしまう方もいらしたりするんですよ。
そんなときは本当に本当に嬉しいですね。今までの苦労が全て報われたと思います。
僕の大好きな作品に楽園っていうのがあるんですけどね。
ある日、旅行会社の広告で「最後の楽園 南の島フィジー」みたいなのを目にしたんです。
それ見て「何かおかしいな。」と思ったんです。
その旅行代理店の視点で言う楽園の定義というのは、ただ人間にとって過ごし易くて、美しい環境であるだけなのでは・・・?
けど、僕が思う楽園は、動物も人間も笑顔で、自然とのバランスが取れていて、皆が共生しているところだと思うんです。』と、羽太さん。
オリジナリティー溢れる作品たちからは、羽太さんのやさしくて力強いメッセージが感じられる。
作品たちを手にとって見てみると、忘れかけている大切なことを思い出させてくれるだろう。
「楽園」
銀工芸職人 羽太 雅和(ハブト マサカズ)33歳
工房で修行後、2005年 神奈川県の葉山町でSILVER CRAFT工房「ANIMAL WARNING」をオープン。詳しくはこちらで http://animalwarning.net/